続いて光 いくつもの

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

村上春樹『風の歌を聴け』

喪失と再生の話(らしい)。1979年の村上春樹のデビュー作。 親友の鼠は実はもう死んでいて、ジェイズバーはこちらとあちらの世界を繋ぐ場所であるとか何とか。他の人のブログで興味が湧いて、再読してみた。 まあその件は良く理解できなかった。 ただこの小説…

薄井ゆうじ『樹の上の草魚』

薄井ゆうじの代表作。すごい小説。 ペニスを失って女性になった男が主人公で、失われていく物への優しい労わりと、優しさだけでは大切なものを失ってしまうよという強さを描く。 何かの雑誌で1994年?度の小説1位に選ばれてた覚えがある。 最近、薄井ゆうじ…

コロナ

ウィルスが流行してる。 新しい技術は何らかの痛みを伴って手に入れてきたものだから、こういう時こそ良いように用いられるといいな。 正社員でコロナの影響は受けてないから、なるべく募金するようにした。 お金が無いとどうしようもないこともあるし。 も…

宮脇俊文『『グレート・ギャツビー』の世界 ダークブルーの夢』 を読んでから「夢」というよくわからないものによく思い当たる。 幸せとは最上の瞬間のことではないのだ、と昨日私は気づいた。 安岡章太郎『ガラスの靴』についての村上春樹の文章。 主人公は…

河井寛次郎「部落の総体」

何も知らずにこんな美しい村に住まっているという事自体、これ以上に素晴らしい事はない筈だから。 美しい物に隠れている背後のものを求めて。 河井寛次郎が感銘を受けた、「個々の集りが全体だという感じよりは、全体があって個々だという方の思いが先に立…

薄井ゆうじ『竜宮の乙姫の元結いの切りはずし』

海沿いの町で毎日海に潜って、竜宮城を探すけど竜宮は存在するんだかしないんだか、みたいな話。 面白かった。こんなにストレスフリーに読める長編(中編?)小説も珍しいのでは。 むかし竜宮に行ったという老人が、もう一度行きたいから竜宮を探してくれって…

短い

短い感想、3つ。 ①行成薫『名も無き世界のエンドロール』 第25回小説すばる新人賞受賞。 青春モノなんだけど、ただのエンタメ小説ではない。 クソみたいな表現だけど「作者の魂がこもっている」切実な力作。書かれる必然性があった(書かれなければならなか…

丸岡大介『カメレオン狂のための戦争学習帳』

教員寮に住む国語教師が、寮内の実情を教育委員会に密告するレポート、という形式で語られていく。 2009年の群像新人文学賞。 この小説は本当に面白い。 小説として一流なんだろうけど、そもそも舞台が学校とかだから取っ付きやすくて、筆運びが軽快な箇所も…