続いて光 いくつもの

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

内山節『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』

この人の本、だいぶ面白い。私が思っていたけど言葉に出来なかったことを書いてくれていて、ああそういうことだよなってなる。 他の著作も読んでいる最中なのだけど、取り急ぎ書いてみた。 私がずっと考えてきたことの一つは、自然に戻りたいということだっ…

山田詠美『晩年の子供』

すごく面白い本だった。すべての短編がどこかで繋がっていて、ひとつの世界観になっている。 一番感じたのは、著者のすべてを見透かしたような、物悲しくて空恐ろしい、恋と人生に対する眼差し・洞察だった。 「花火」での、清らかな恋とか言ってるものこそ…

宮内勝典『南風』

「あの戦後の貧しい一時期、この土地の空間はただ均質にひろがっているのではなく、嶽山を中心にして一つの同心円をえがいていたような気がする。その円のなかで人々が暮し、きちがい豊がどこかをひた走り、女郎たちが化粧の仕上げを急いでいた。そして本坊…