続いて光 いくつもの

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

遠野遥『破局』

「読みやすく」て「クオリティが高い」純文学?として、近年稀に見る作品ではないかと思う。 特に深く考え込まなければ、本当にすらすら読めてしまう。 そういう読み方をしても、普通に面白く読める。 私が思う「クオリティが高い」には以下のような要素があ…

行成薫『名も無き世界のエンドロール』

昔の少年マンガってBLEACHとかD.Graymanとか、荒削りなところあったよなと思う。 本人が楽しんで描いて、自然と出来上がったみたいな要素が好きだった気がする。 最近のマンガとか小説は初めからこうしてこうで終わるって決まってて、綺麗な作品が多くてなん…

小川国夫『想う人』

小川国夫の文章がなんか好きなのは、自分のことばかり書いているからかなと思う。 特に初期の文章が好きなのは、小説技法が熟練する前だから、良くも悪くもストレートなのかもしれない。 「自分のこと」を、「ストレートに」書いたもの。 他には、重苦しい宗…

吉本隆明『吉本隆明初期詩集』

「巡礼歌」とか「エリアンの手記と詩」が好きだ。 エリアンおまえは此の世に生きられない、のところとか 「二人の相違う性が、相寄って長い歳月を歩むということは、そんなに美しくもなく愉しくもなく、又そんなに醜いことでもない平凡なことだ そして平凡な…

フィリップ・スーポー『流れのままに』

HSPという言葉を最近よく聞く。 Highly Sensitive Personで敏感な人。 さらにHSS型HSPというのがいて、刺激を求める癖に人一倍敏感な人。 そういうタイプの人はこう考えると生きやすくなるよ、という情報になるほどと思ったりもするのだ。 こうした道具的な(…

太宰治『人間失格』②

どうにも忘れられない一節がある。 「たとえばって、あなた自身、これからどうする気なんです」 「働いたほうが、いいんですか?」 「いや、あなたの気持は、いったいどうなんです」 「だって、学校へはいるといったって、……」 「そりゃ、お金が要ります。し…