続いて光 いくつもの

2022-01-01から1年間の記事一覧

4ヶ月前の日記

オルタナティブスクールのような、子どもたちで議論をし合い、主体性と個性に基づいて、決められた詰め込み教育ではない自分なりのカリキュラムをこなす場所で育ったなら、どうなっていただろう。 私は真面目すぎてしまった。人間関係の下手さを、勉強という…

ゼーバルト『土星の環』

薄井ゆうじは『くじらの降る森』で、父親の死を弔うとともに、消えゆく男性性を弔っているように思う。 「酔っていく頭のなかで、いまの自分の考えを取り消そうとしていた。彼女たちが枝豆をゆでるのを阻止する権利は、誰にもないのだと。 そして考えていた…

ドストエフスキー『罪と罰』

1789年からフランス革命が始まり、自由・平等・合理主義みたいな新思想が吹き荒れた。ロシアは後進国であり、1860年にやっと農奴制が無くなる。罪と罰が書かれた1866年は、これまでの宗教中心で人々は与えられた身分のとおりに慎ましく生きる的な価値観と、…

トーマス・マン『トニオクレーガー』

最も多く愛する者は、常に敗者であり、常に悩まねばならぬーーこの素朴でしかも切ない教えを、彼の十四歳の魂は、もはや人生から受け取っていた。そして彼の性質として、こうした経験をよく覚え込んでーーいわば心に書き留めておいて、そのうえ多少それを楽…

田川建三『イエスという男』

何ヶ月もかかってゆっくり読んでいた。大学を留年していた頃、単位にも入らないのに一般教養の宗教学を何度か受けに行った。そこで教授が、俺ら世代の宗教学者はみんなこの本を読んでいた、ただしこの人の書き方はクセがある、と言っていて買っておいた本だ…