続いて光 いくつもの

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

小池桂一『ウルトラヘヴン』

薬物でトリップしてる描写が大半という、他にないマンガである。主人公がトリップして戻って来た時、「え、今までの夢だったの!?」と読者も思わされる。そして「夢にしてはリアルだったけどなあ。本当に夢だったのか?」と、もどかしい気持ちが残る。つま…

小川国夫『相良油田』

私の手元には、小学校のころの集合写真がある。少年らしい無邪気で元気な男の子たちの中で、私は臆病そうに、しかし大人しい子たちには混ざらず、快活な子たちに合わせて背伸びをしている。 高校大学を経て、私は、自分が異性から認められるのだと知った。し…

精読・『飼育する少年』①

勉強用メモです。一部、片桐淳『開成中学入試問題の実況中継国語』、廣野由美子『批評理論入門』、佐藤正午『小説の読み書き』を参考にしている。 「塾を出て家路につくころは、もう星が出ていた。」 ・この文章を普通の人が書こうとすると、おそらく「塾を…

日野啓三「天窓のあるガレージ」

私は主人公の少年に、自分と近いものを感じて、おそらくこの短編が好きだ。俗物でありながら俗なものを忌避して、日常に「何か」が起こればと、「あちら側」の美を優先して暮らす。そして「何か」の発生を感じるとき、それは内部から起こっているのだ。具体…

「千と千尋の神隠し」

ハクとカオナシは極めて酷似した存在として描かれている、という話。某氏のブログ(全5回)を参考にして書く。そっちの方が面白いからそっちを読んで欲しい。→https://blog.goo.ne.jp/eminus/e/620607bbc9b14fb7a5045fa75fa6c052 序盤、千尋が息を止めて橋を渡…

小池桂一『ヘヴンズドア』

このマンガ短編集を強くお勧めしたい。 もっとも私はここ数年毎日のように小説や本を読んでいて、おそらく「物語脳」みたいな、本を読むのに少し特化した状態になっていると思うので、そうでない人たちがこれを読んでどう思うかは分からないのだが、、 小池…