続いて光 いくつもの

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

薄井ゆうじ『ドードー鳥の飼育』

「あなたがドードー鳥の飼育係に選出されました。おめでとうございます」 見えないドードー鳥の飼育係をやっているうちに、主人公にはドードー鳥が見える気がしてくる。 不条理小説、というものを集めた短編集らしい。『ドードー鳥の飼育』も軽妙でなんか面…

太宰治『人間失格』

やはりこの小説は凄い、という気がした。 ここへ来て、あの破れた奴凧に苦笑してから一年以上経って、黄桜の頃、自分は、またもシヅ子の帯やら襦袢やらをこっそり持ち出して質屋に行き、お金を作って銀座で飲み、ニ晩つづけて外泊して、三日目の晩、さすがに…

期待

マイナーな小説を読んだどこかの誰かが、感想を共有したくなってネットで検索をして、ほんの数件ヒットした内のひとつがこのブログ、みたいなのを期待したい。 実体験に基づいている。 薄井ゆうじの『飼育する少年』が好きだけど、ネットやTwitterで検索して…

国木田独歩「忘れえぬ人々」

旅人宿に、二人の青年が泊まっている。彼らは意気投合し、やがて、僕にはどうしても忘れられない人々がいる、と話し始める。 ①美しい日本語について すごくリズムの美しい日本語で書かれているなあ、って思う。国木田独歩は詩も書いていたから、それもあるの…

薄井ゆうじ「飼育する少年」

都会の団地に住む少年は、ある日空き地でキリンを発見し、誰にも内緒で飼うことを決心する。 この短編を読んだのは小学生の時。開成中学の過去問らしく、中学受験の国語の問題で読んだ。 何か惹かれるものがあって、タイトルと作者名を覚えていた。 いじめら…